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最高裁判所第一小法廷 昭和33年(オ)119号 判決 1958年12月18日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人弁護士徳永平次の上告理由第一点、第二点、第四点について。

しかし、原判決は、所論(四)の事項につき判断を与えた上爾余の争点につき判断するまでもなく第一審原告の本訴請求は失当である旨判示しているから、原判決には、所論のごとき判断遺脱、理由不備等の違法は認められない。

第三点、第四点について。

しかし、上告人は、原審において上告人は本件供託金を受領して本件債権の一部弁済に充当したから残債権を請求するもので右受領は供託原因を認めたものではないと主張しただけで、供託物受領の際に別段の留保の意思表示を為したる等特別の事情のあることを主張立証しなかつたのであるから、原判決の趣旨とするところは、かかる特別事情ある場合を除外して一般的に言つて、債権者が債務者から供託書の交付を受け供託金額を受領した場合は、債権者において供託所に対し債務者のなした供託を受諾する意思を表示したものと認められる旨判示したものと解するを相当とする。されば、原判決は、結局所論引用の判例と同一趣旨を判示したもので、これと相反する判断をしたものとは認められない。そして、原判決の判断は、当裁判所においてもこれを正当として是認できるから、所論は採るを得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官の全員一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 斉藤悠輔 裁判官 入江俊郎 裁判官 下飯坂潤夫 裁判官 高木常七)

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